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溶かされてみる?
第10章 惑う心と誘う夢
あたしはお父さん挨拶に行った帰り道…考えていた。
小さい頃から一緒だったみんな…
知らず知らずにあたしはいつも助けられてて…
今思えば、どうして初め見た時から思い出せなかったのかと後悔する。
みんな変わってない…
そんなみんなにあたしはこれからどうやって恩を返していけるのだろうか…
気づかない間に支えられてたこと。
そして誰も記憶がないあたしを責めなかった。
むしろそんなあたしを支えてくれた。
「あたし…何やってるんだろう…」
あたしはみんなを幸せにしたい。
みんながあたしにそうしてくれたから。
次はあたしがみんなを支えたい。
そう思いながら家の近くまでくると、家の前でみんなが立っている姿が見える。
「恋!!」
いち早く気づいた律先輩があたしに駆け寄る。
「律先輩…」
「んな泣きそうな顔してんなバカ、耀さんに挨拶してきたんだろ?」
あたしの頰を両手でつねりながら律先輩はそう言う。
「いひゃいれす…りつへんふぁい…」
「もう今となっては律先輩なんて固いな。昔みたいにりっくんて呼べよ恋」
律先輩はあたしにニヤニヤしながら言う。
「このバカはほんと周りが見えてねえなあ」
「ってぇな!暁翔!」
後ろから律先輩の頭に鉄拳を下す暁翔さん。
「ふふ…」
あたしは思わず笑う。
「そうだよ恋ちゃん」
そんなあたしを見た黎泱先輩があたしの手を握りながら言う。
「恋ちゃんが笑ってるだけで俺ら幸せなんだから〜」
黎泱先輩はあたしを見て微笑む。
「キモい黎泱はほっといて、恋ちゃんは変わらずいつも笑ってる食いしん坊でいーの!」
皐君があたしの手を握る黎泱先輩の手をはたき、あたしを抱きしめながらそう言う。
「わっわっ!皐君!」