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溶かされてみる?
第10章 惑う心と誘う夢
ピピピピッ…
「ん…やっ…ば!!」
おはようございます。
ただ今、朝の5時45分です。
あたしは急いで顔を洗い、ダイニングに向かう。
こんな朝早くから起きて何をするのかって??
野獣どもの…(おっと訂正)
みんなのお弁当と朝ごはんを作ります。
朝ごはんの当番、今日は律先輩だった気がするけどそんなことは知らない。
昨日…あれから…考えに考えて…
みんなの喜びそうなことをしようという、最終地点に至ったあたし。
お弁当とかみんないるはずだし…
とりあえず!7人分作らなきゃだから!急げ!!
冷蔵庫の余っている具材を見てメニューを決めて、手際よく作る。
こんなことしかできないけど、できることで恩返ししたい。
なんて思い上がりかもしれないけど…
考えているうちに熱していた味噌汁がボコボコと音を立てる。
「沸騰!沸騰!!」
焦って火をとめる。
でも、最近の中で一番充実してる感がある。
あたしは1人ご飯を作りながらニヤニヤしていると
ガチャ…
「あ? なんで恋が…」
寝起きMAXの少し不機嫌な朝ごはん当番の律先輩のご登場。
「おはようございます律先輩!」
あたしは笑顔で律先輩に挨拶した。
「かてーって言ったろ、その呼び方。」
律先輩はあたしのそばまで近寄り、いつかのように頬を両手でつまむ。
「い…っいひゃいれすって…!」
「フグみてえだな」
ふっと笑ってあたしの頰から手を離した。
失礼な!!
「で、なんで恋がこんな朝早くからキッチンにい…」
律先輩はキッチンをみて言いかけた言葉を止めた。
「律先輩…?」
不思議に思ったあたしは律先輩をみた。
「恋…まさかお前お弁当作ってくれてんの…?」
口元に手を当てながら少し控えめに声を出す律先輩。
「そう…ですけど…」
やっぱ、みんなお昼のご飯はいろんな付き合いとかあってお弁当いらないみたいな?!!!
そこまで把握してなかったよ…
勝手に1人で残念がるあたしの耳に聞こえたのは、それを覆す逆の声だった。