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溶かされてみる?
第12章 空白の時間と素直な気持ち
突然の言葉に母さんは俺の方を向く。
「はじめは俺置いてかれたんだなってすげえ寂しかった。けどあんたらはちゃんと俺に会いに不定期だったけど帰って来てくれた」
「律…ッ…」
「時には家族なんてそんなもんいらねえ、俺にはいねえって思ったこともあった。」
「…」
「けどあんたらは少ない時間だったけど、俺をちゃんと愛してくれてた」
「ごめんなさッ…い…律…」
「ったく、大の大人が泣いてんじゃねえよ」
俺が素直に言葉を発していくと母さんは声を押し殺しながら泣く。
「いっつも孤独を感じてたし、あんたらのこと恨んでた」
「本当に…ごめ「でも。」
「…?」
「そんな俺のそばにはいつもみんながいてくれた」
「恋ちゃん達…?」
「ああ。みんながいてくれたからいつも楽しかった。」
さっき恋と話していたとき、母さんはどうやら外国に連れて行きたいと言っている話を聞いた。
「だから俺はそっちについていかない」
そんな話を聞いて俺の返事は決まってた。
「でも…」
「あんたらあんたらで、楽しいこととか仕事とかしてりゃあいい」
俺は俺の時間を過ごすからと母さんに告げる。
「本当に、律ごめんなさい…」
「もういいって、だから母さんも俺のことは心配しなくていいから自分らのことがんばんな」
「律!!」
俺が物心ついてから初めて自分の母に向かって母さんと呼んだ。
それに気がついたのか、母さんは嬉しいのか悲しいのか凄い勢いで泣いていた。
「目腫れんぞ、Bloomの社長」
そう言いながら俺は母さんの背中をさする。
「本当にごめんね律…!本当に本当に…」
俺らの空白の時間…
止まっていた時間はゆっくりとゆっくりと歯車を回しながら動き始めた。