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溶かされてみる?
第20章 デートという名の争奪戦?
「やっぱ俺らがやったみたいなのとはクオリティが違うな」
呑気にホラーマンションに入って周りを見ながら
感心しているりっくん。
りっくんたちのも十分怖かったよ…!!!
「おい、恋見てみろよ、このガイコツ」
「〜〜〜…っ!!」
建物に入ってからのあたしは目を閉じ
りっくんが繋いでくれる手だけを信じ、中を歩いていた。
「恋、目閉じてたら見えねーだろ」
「見たくないよ!!」
「俺がいるんだから安心しろって!」
「怖いものは怖いの!!」
全く…
なんでこんなもの楽しいとか思えるわけ!信じらんない!!
「にしても広いし長いな、このホラーマンション」
最悪だ…そんな長いなんて…
早く出たいよ…
どれだけ目を閉じていても
やっぱり物音とか空気感が怖すぎて…
「…悪かった」
「…え?」
まさか謝られるとは思ってなくて
あたしは驚きでつい閉じていた目をあけ、
薄暗い中りっくんを見た。
「皐と仲良くしてるお前見てたら我慢できなくて」
ちょっと意地悪してやろうと思ってここに入ったと
バツが悪そうに言うりっくん。
「…りっくんの横暴」
「悪い」
そんなこと口ではいってるあたしだけど
なんだかいつもは素直じゃないりっくんが
こんなに素直なのは珍しくてついついあたしもいじめたくなってしまう。
「りっくんの自己中」
「悪かったって」
「馬鹿律…?」
「お前この流れで敢えて皐の真似するとか、煽ってんのか?」
「きゃ…!!」
ーこれはいわゆる選択肢を間違えたというやつだろうか。
ついつい軽口を叩こうと、とっさに浮かんだいつものこうちゃんの口癖の真似をしたが、空気的に逆効果だったらしい。
近くにある壁にあたしは押された。
「皐が好きなのか」
「なにいって…!!」
急に怒ったとは思ったけど、
いきなり何を言いだすかと思えば!!
「あんな性悪のどこがいいんだよ」
「や、だから好きとか言ってないってば!」
早合点しすぎ、今日のりっくん!!
「好きじゃねーの」