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ラブプレイ〜Hな二人の純愛ライフ〜
第14章 愛のメトロノーム
府に落ちない表情の俺に社長は白状した。

「舞花はこの業界で食って行こうなんて思ってない」

「なんだそれ?」

「あれはお前のファンだ」

「?……」

「スカウトしたときに俺がお前で釣った」

「は?」

「同じ事務所だから入ったら藤沢聖夜に会えるぞ!てな」

「……」

「オッパイとくびれで売り物になるかと思ったが無理だった……」

「………」

「同じ事務所なのに聖夜に逢えないって騒ぐからな…“あいつは役者だから、グラビアアイドルとの絡みがない、逢いたいなら役者になってあいつとの仕事を獲れ”それが近道だって……」

「……それ、すげー…迷惑…」

「………」

「どうすんの?そんなやる気のない奴ヒロインに選ばれちゃって…」

「気にするな」

平気でいう髭に腹が立つ。

「舞花の演技は要らん。早い話が誰も舞花の演技は求めてない──」

「……」

またまた訳のわからないことをこのチンピラはっ…

「あの脚本はお前の為に創ってある」

「俺の?」

「そうだ……撮影はお前中心でカメラが回る。表情も何もかも、お前中心で物語りは進む──舞花が映るのはお前が触る肌だけだ」

「……?」

「言っただろう?お前が役を受けるかどうか返事待ちだったと──…橘はお前を活かす為にこの物語りを書いた…お前がこの役を断れば脚本はゴミ箱行き──」

「なんでそんなに俺に?……」

「芸術的な物を手掛ける人間てのはいつかは官能的な作品を残したいって思うもんだ…この脚本は橘がずっと懐で暖めてた作品だ──だだ、演じる役者が居なかった。そこにお前が現れた──藤沢 聖夜…子役から順調に育ってきたお前がまだ挑戦していない分野…それはなんだ?」


「……濡れ場」

「そうだ…濡れ場だ。ちゃちいキスシーンじゃない。20歳という年齢で艷のある濡れ場を演じている役者はまだ居ない──お前がそれをやれ」

「………」

「ちゃちいキスシーンじゃないぞ?ペラペラなラブシーンでもない──官能的な濡れ場だ」

「でも舞花があれじゃ…」

「舞花は映らない。カメラは全部お前に向けられる。お前の表情一つで物語りは出来ていく──舞花が下手な演技打ってもお前が食え」

「……ちょ…ちょっと待って」

俺は頭を抱えて膝に視線を落とした。

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