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第25章 虎視眈々(ｺｼﾀﾝﾀﾝ)

「あたしの為に我慢なんかしなくていいから──…やりたいことやって…」

ソファの肘掛けに肘を預け、頬杖付きながらそう言われた。

無造作にテーブルのリモコンを取ってテレビを付ける。無機質に流れる音声と空気がなんだか重い──

「どうしたの？黙っちゃって？」

平然と聞いてくる。


俺好みの女はいても俺を惹き付けるのは晶さんしかいないのに…

「今、浮気相手誰にするか考えてるから…」

「そ？…そんなに候補が居るんだ？すごいじゃん」

「………」

毒を吐けば猛毒で返ってくる──

正直相手なんてまったく浮かんで来ない。

嫌味を言っては倍に返されだんだん心が折れてきそうだ…

ムカムカしながら晶さんに目をやっては指先が苛立ちで落ち着かない。

晶さんより夢中になるものが俺には中々探し出せなかった──