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わが不滅の恋人 ―永遠に秘密の恋―
第2章 Ich liebe dich (我、汝を愛す)
成人したルートヴィヒはボンを離れ、ウィーンで暮らしていた。「音楽の都」と呼ばれるウィーンは音楽家として生計を立てるのに最も相応しい街だった。
少年時代を共に過ごしたフランツはカストラートになり、修行のためナポリへ渡ったと、聖歌隊の隊長から聞かされた。そのあとすぐにルートヴィヒもオランダへの演奏旅行を期に聖歌隊をやめ、本格的な音楽家として師の元で修行を始めることとた。
それから二十年が過ぎ、ルートヴィヒはピアニストとしてだけでなく、作曲家としての名声も獲得していた。快活で魅力的なルートヴィヒに言い寄る女性は多かったが、どれだけの女性と交わってもどこか本気になれなかった。ベッドの中で思い浮かべるのは同衾している女性ではなく、二十年以上も会ってはいないフランツの笑顔。あの頃幼いながらもフランツに抱いた恋心は、確かに本物なのだった。
少年時代を共に過ごしたフランツはカストラートになり、修行のためナポリへ渡ったと、聖歌隊の隊長から聞かされた。そのあとすぐにルートヴィヒもオランダへの演奏旅行を期に聖歌隊をやめ、本格的な音楽家として師の元で修行を始めることとた。
それから二十年が過ぎ、ルートヴィヒはピアニストとしてだけでなく、作曲家としての名声も獲得していた。快活で魅力的なルートヴィヒに言い寄る女性は多かったが、どれだけの女性と交わってもどこか本気になれなかった。ベッドの中で思い浮かべるのは同衾している女性ではなく、二十年以上も会ってはいないフランツの笑顔。あの頃幼いながらもフランツに抱いた恋心は、確かに本物なのだった。