この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
わが不滅の恋人 ―永遠に秘密の恋―
第2章 Ich liebe dich (我、汝を愛す)
ある夜、ルートヴィヒは知人によってとある演奏会に連れ出された。交響曲の曲想を練るので頭が一杯だったルートヴィヒは、初めはそれを断った。だが知人は「聴かないと絶対に後悔する」と言い、半ば強引にルートヴィヒを引きずり出したのだった。
辿り着いたブルク劇場は満員のようだった。ロビーにはやたらと女性の姿が目立つ。演目はヘンデルの「リナルド」だ。「リナルド」はカストラートを用いたオペラで、タイトル役のリナルドも相手役のアルミレーナもカストラートが歌う。手渡されたパンフレットに何気なく目を落としたルートヴィヒは目を疑った。アルミレーナ役の歌手の名は「フランツ・シュッツ」。少年時代にボンで別れたきりの、あのフランツだった。
辿り着いたブルク劇場は満員のようだった。ロビーにはやたらと女性の姿が目立つ。演目はヘンデルの「リナルド」だ。「リナルド」はカストラートを用いたオペラで、タイトル役のリナルドも相手役のアルミレーナもカストラートが歌う。手渡されたパンフレットに何気なく目を落としたルートヴィヒは目を疑った。アルミレーナ役の歌手の名は「フランツ・シュッツ」。少年時代にボンで別れたきりの、あのフランツだった。