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奴隷メイドオークション ~正しいメイドの育て方~ 改訂版
第16章 梨香の事情と相談
「美桜とは、今までこうやって話したことないね」
メイドは普段お互いの個室を行き来することはあまり無く、配膳を終えた厨房で話したり、こうやって娯楽室で話す事が多いと愛さんから聞いている。
「私さぁ、中卒なの。高校なんて行きたくなかったから。その後は家を出て、年齢をごまかしてキャバクラで働いてたんだ」
梨香さんから、そんな話を聞くのは初めて。
会えば他愛ない話はするが、こうやって2人切りになった事がなかった。
「ノルマが厳しい店でさ、あっという間に数百万の借金が出来ちゃって。給料は勝手に全額返金に充てられるし」
アイスティーを飲んでから、梨香さんが続ける。
「寮費に生活費でしょ。儲けようと思うからお客さんと同伴するのに、良い物を着なくちゃいけないし。全部闇金から借りて、そのうちどうしようもなくなっちゃった」
梨香さんの、小さな溜息。
「年齢を確認しないようなヤバイ店だったからね。私の行動がバカだったの。でも、ここに来られてラッキーだよ?」
こんな所に連れて来られて、ラッキーだなんて思えない。
「ヘンな店に売られるより、ずっとマシだってば」
「ヘンな、店?」
「1日何人もの知らない男とヤって、それが毎日毎日続く。契約金なんて無いしね。そういう店に売られるのって、結構多いんだよ」
そういう店があるのは私も知っている。私だったら、すぐに心が壊れてしまいそうだ。
「オークションの前、一週間以上いた汚い部屋にいた時の事を考えればさ。今のご主人様と待遇で、私は満足してる。おかしいと思うかもしれないけどね」
私は首を振った。確かにここの生活待遇はいい。広くて綺麗な部屋。ご主人様達と同じ食事。違うのは、薬が入っていることだけ。
それにさっき梨香さんが言っていた通り、ご主人様達は自分の専用メイドにしか触れない決まり。何人にも触られるわけではない。この屋敷のおかしなルールだが、それである程度の秩序が保たれているのだろう。
「美桜はお嬢様育ちでしょ? 何か、品があるもん。隠してるけど、愛さんもそうだよね。私なんて、ただの不良娘だったから。これくらい平気」
声を出して笑う梨香さんに釣られて、少し笑った。