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第1章 　オークションとご主人様

　泣いている子や諦め顔の女の子もいるが、入って来た私をチラリと見てすぐ視線を戻すだけ。
　友達には芯が強いとよく言われるが、こんな訳の解らない状態では戸惑う他ない。
「お前は元がいいから、化粧は必要無いな。髪だけ梳かしておけ」
　言われた通り鏡台にあったブラシで髪を梳かしていると、スーツを着て髪をまとめた女性が入って来た。
「揃いましたね？　みなさん、これからステージを歩いてもらいます」
　ステージ？
　何かのショーでもやらせる気なのだろうか。
「ちゃんとアピールしてね。それによって、みなさんの就職先が決まるんですから」
　言っている意味が解らない。
　服などの入った袋を置かされた私達は番号順に並ばされて、もう1つのドアから出された。
　前の女の子に着いていくと、眩しいくらいの明るさ。その狭いステージをゆっくりと二周させられる。ステージ前の席にはたくさんの男達がいて、何かメモを取っている者もいた。
　これは、いったい何なの？
　その時に気付いたのは、1番から5番までが全裸。部屋にいた時はバスタオルを羽織ったりしていたから、気付かなかった。
　一度集められた部屋に戻り、番号順に1人ずつステージへ行かされる。
　どこかからチャイムが鳴ると、順番に出て行かされるようだ。だが、出て行った子は誰も戻って来ない。
　私は11番で一番最後。恐怖のまま座っているしかなく、ついに部屋には女の子がいなくなった。
　男と2人切りで、居たたまれない。
「あの……。どうして、全裸の人も、いたんですか？」
　ドアの前に立ったままの男に、震える声で訊いてみた。
「処女じゃないからだ」
　男はそれだけしか言わない。相変わらず、サングラスの奥からどこを見ているのかが不気味だ。
　10番の子が出て行ってから10分程して、またチャイムが鳴った。
「お前の番だ」
　他の子が出て行ったドアを開けた男に軽く背中を押されて、部屋を出た所でしゃがみ込んだ。
　ステージに出されると、男達が私を見ている。
　胸とアソコを隠すとさっきとは別の男が出てきて、ステージの中央に立たされ後ろで腕を押さえられた。
　全身が席から丸見えになって俯くと、男に顔を上げられる。
《本日最後です。11番、美桜。17歳。身長158。バスト88、Gカップ。ウエスト57、ヒップ86。処女》