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第8章 　疑似セックス

「泊まりになっても大丈夫なように、愛に持って来てもらったけど。帰るのにも、この方がいいだろう？」
「あの……。私……」
「帰るんだろう？　着ていいよ」
　笑顔で言うご主人様から、私はパジャマを受け取った。
「気絶したりして、帰れなかったら、泊めようと思ってただけだから」
「すみません……」
　頭を下げたけが、ご主人様は笑顔のまま。
「1人で帰れる？　送ろうか？　それとも、愛を呼ぶ？」
「1人で、大丈夫です」
　パジャマを着ながら答える。
「じゃあ、おやすみ」
「はい。おやすみなさいませ。ご主人様。ありがとう、ございました……」
　お辞儀をしてから部屋を出て歩き出したが、私は自分でも、最後に言った「ありがとうございました」の意味が分からなかった。
　考えてみれば、今日は酷い1日。オシオキ部屋に拘束されて、器具で辱めながらの放置。
　その後は、セックス紛いの行為。
　パジャマを用意してくれていたり、自由にしてくれた事への「ありがとうございました」。そう考えるしかないと思った。