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ロリちゃん作品集 (一章読み切り式)
第34章  麻菜の憂鬱


 正直、そんな事は考えていなかった。「好き」という言葉も、何度言ったか覚えていない。
 勝手に、セックスが愛情表現だと思っていた。
「友達はね。セックスの時、何回も何回も、好きだって、言われてるから……」
 また、エッチ話仲間からの情報か。
 俺も体を起こした。
 でも麻菜にとって、それは切実なのだろう。セックスだけが目的でもいいなんて、小学生に言わせる俺が悪かった。
「麻菜。セックスは、人によって、ヤり方が違うんだよ」
「ヤり、方?」
「好きだって何度も言ったり、言わなかったり。それぞれだから」
 それでも、麻菜はまだ不安そうな表情。
「好きだから。大好きだから、セックスするんだよ。大好きじゃなかったら、まだ小学生の麻菜と、ヤったりしないよ」
「麻菜の事、好き?」
 説明はしたが、まだ不安なのだろう。
「俺は、麻菜が好きだよ。大好きだよ」
「お兄ちゃんっ!」
 麻菜が抱き着いてくる。俺はその小さな体を受け止めた。
「麻菜、ずっとユウツ、だったの。好きじゃないかもしれないって、思って……」
 こんな小さくて大切な子を、憂鬱にさせていたなんて。
「良かった……。セックスは、人によって違う……」
「そうだよ」
「良かった……」
 麻菜は本当に、不安で憂鬱だったのだろう。今日は特に、俺に好きだと言う回数が多かった気がする。
「あっ。今日の後ろ向きの体位、何て言うの?」
「背面座位かな」
「ハイメンザイ……」
 体位を訊いてくるなんて、いつもの麻菜に戻ったようだ。また、エッチ話仲間に話すのだろう。
「麻菜。大好きだよ……」
 俺は小さな体を、思い切り抱きしめた。



 つづく


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