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ロリちゃん作品集 (一章読み切り式)
第43章 04 城下街
「はい……。兄がおりますので、私は旅の途中です」
次男なのは本当だから、そう言っておく。
「そうか。この街でゆっくりするがいい」
「いえ。今さっき、街を出るところでした。次の街へ」
「それは足止めしてすまなかった。馬車を用意させよう」
王が手を叩いて人を呼ぼうとする。
「けっ、結構です。自分の力だけで、旅をしたいので……」
「そうか。それは素晴らしい。もう少し前に会っていれば、姫の花婿候補だったな」
「お父様……」
レイナが、王を見て困った表情になっていた。
「残念だ。来週の姫の結婚式に招待しようと考えていたのに」
「結婚式……」
つい呟くと、レイナは視線を落としていた。
「あの……。王様。結婚祝いの品を、姫様に、差し上げても、よろしいでしょうか。高価なものでは、ありませんが……」
「祝いに金額など関係無い。レイナ。頂きなさい」
「はい。お父様……」
俺は、持っていた100均商品を全部レイナに渡した。
「きれい……。ありがとうございます……」
「では、失礼します」
王とレイナに頭を下げ、俺は玉座を後にする。
レイナは、結婚が嫌で家出をしたんだろう。
俺には、何もしてあげられない。
そう考えながら、ドアへと急いだ。
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