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悠一郎の独り言
第30章 2017年12月19日(月)00:29
ですが、驚くことに…
沙羅さんが私の手を握ったんです。
驚いて沙羅さんを見ると、はにかみながら笑って夜景に目を向けました。
沙羅さんの手の温もり…
ともて暖かくて、そしてやわらなくて…ついつい、ぎゅっと握りしめてしまいました。

「ちゃんと…見てくださいね。今度はこの絵を描いて交換しましょう」

と夜景を見ながら沙羅さんはいいました。
その顔は恥ずかしそうにしていましたので、気を使って口を開いてくれたんだと思うと自分が情けなくなりました。


「悠一郎さんが、この風景をどんな風に描くのか…楽しみです。」

「はい…今のが出来上がったら…次はこの風景をプレゼントします…」

自然と、そんな言葉が私の口からポロリとでたので驚きました。
沙羅さんは私の方を見てにっこりと笑ってくれたので、私も自然と笑顔になりました。
それからは手を繋いだままイルミネーションやプロジェクトマッピングを見て回りました。
途中でホットワインが売ってあったので、身体を暖めるために飲んだりと1時間はあっという間でした。
その間中、手は握られたままです。
何かで離れてしまっても、自然と手を繋ぐんです。
そのたびにドキドキして、それでも沙羅さんの手の温もりを感じられて幸せでした。
9時過ぎには会場を後にして、沙羅さんを家まで送りました。
その間中、考えることは今週の事です。
担当者さんが予約までしてくれたディナー。
言わなければと思いながら中々言い出せません。
そう思っていると、お店についてしまいました。
入口の前で向き合い…お互い手を離すことができませんでした。
ただ、黙って俯いたまま…

「あっ…あの…」

意を決して口を開いても言葉が続きません。
せっかく皆に応援してもらってるのに。
沙羅さんといい雰囲気になれたのに…
このまま終わりに何てできない。
したくない…

―――頑張れ、私!!

と自分を奮いたたせました。
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