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君を孕ませたい
第2章 見え隠れする優しさ
「実咲、お待たせ」

翼さんの声にはっとする。



ダイニングテーブルの上にはバターと蜂蜜がたっぷりかかったフレンチトーストと、私が好きだと話したグレープフルーツジュースが置かれていた。



「あ、ありがとうございます」

ぺこりと頭を下げテーブルへと移動する私をじっと見つめる。



(もうやだ・・恥ずかしい)

何も着けていない体を隠すように両腕を前にやる。



「恥ずかしい?きっとすぐに慣れるよ」



「・・っ、慣れなくて良いです・・服着させてください・・」



「駄目。いつでも実咲を抱けるようにこの休暇中は裸で過ごすって決めたんだ。それに服着てたら逃げられちゃうかもしれないし・・ね?」



「そんな事しません・・行く所だってもう無いし・・」



「それでも。俺は実咲とずっと一緒にいたいから、実咲が俺を好きになるまで不安要素は取り除きたいんだ」



「こんな事されて・・っ、・・・・っ」

(好きになれるわけないじゃない)

そう言おうとしたが翼さんの不安そうな表情を目にし言葉に詰まる。



「温かいうちに食べよう?」

そう言って翼さんは私を椅子に座らせ、自分も隣の椅子に腰を落とす。



「はい・・、いただきます」

カチャ・・と小さな音を立て一口大に切ったフレンチトーストを口へと運ぶ。



(美味しい・・!)



空腹のせいもあるだろうが、あまりの美味しさに無言でパクパクと食べ進める。



「美味しい?」

声と視線に気付きはっと翼さんの方を見るととても優しい瞳で私の事を見つめている。その瞳があまりにも優しいものだから一瞬どきりとする。



「はい、美味しい・・です」

ドキドキしたのを悟られたくなくて俯いて答える。



「そう。良かった」

嬉しそうに微笑んで頭を撫でられ、その事にもほんの少しどきりとしてしまった。



「ここ、蜂蜜が付いてるよ?」

唇の横をちょんと触り、顔が近付いてくる。



(キス・・されるっ)

反射的に思わず体を強張らせてしまった。



・・と思うと、唇の少し横についた蜂蜜だけをぺろりと舐めて首を傾げながら

「キスは・・しないよ。言ったでしょ?口付けは実咲が俺を好きになってくれてからって」

切なそうに微笑みながらそう言った。




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