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君を孕ませたい
第2章 見え隠れする優しさ
「ご馳走様でした」

いつもの通り食べ終わった食器を片付けようと立ち上がろうとした所それを翼さんが制止する。



「今日は俺がやるから。実咲はソファで寛いでいて」



「え・・あ、ありがとうございます・・」



カチャカチャと食器を片付ける音を背中で聞きながらひんやりとした本革のソファに腰を落とす。



満腹になった事と、朝方まで抱かれていた気怠さから瞬く間に眠気が襲い、ついうとうととしてしまった。



はっと目が覚め、いつの間にか翼さんの胸にもたれ掛かっていた事に気付き謝罪する。



「ごめんなさいっ」



「謝らないで。もっと寝ていて良いんだよ?」

離した体を優しく引き寄せられ頭を撫でられる。
それがなんだかとてもくすぐったくて、恥ずかしくって・・
表情を悟られぬよう俯くが、落とした視線の先には翼さんのものがあって、咄嗟にぎゅっと目を瞑る。



(見ないように視線逸らしていたのに見ちゃったよ)



昨夜散々見ていたそそり立ったものとは違い陰毛に隠れ下を向いたそれにもどきりとする。



そのまま翼さんに身を委ね寄りかかったまま目を瞑っていると、頭を優しく撫でられながらぽつりぽつりと話しかけてきた。



「ね、実咲はさ、前に彼氏いた事ある?」



「いない・・です」



「そうなんだ。じゃあ好きな人は?」



「・・・・」



「いるの?好きな奴」



「どうしてそんな事・・」



「好きな奴いるのか聞いてるんだ」

声色が少し冷たく厳しく変わりびくりとする。



「そんな・・」

まだ地元にいる頃なんとなく良いなと思う同級生はいた。が、祖父が亡くなり恋愛どころではなくなった。今の家に住まわせて貰える事になって格好良い、大人の翼さんの優しさに触れ胸をときめかせていた。



(でもそれは別にまだ好きっていうわけではないと思うし・・)



黙りこくる私に冷たく言い放つ。



「実咲、好きな奴がいようがいまいが君はもう俺のものだからね。初めてキスをしたのも初めて抱いたのも俺だ。今後実咲は俺以外を好きになる事は許さないよ。俺から離れられなくしてあげる」

言うや否やがばっと抱き上げ階段を上り昨日幾度も抱かれた翼さんの部屋へと連れて行かれる。



(また抱かれるんだ・・)

受け入れるしかないその行為を前にそっと目を瞑った。


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