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秘花~王太子の秘密と宿命の皇女~
第20章 恋情~切なくて逢いたくて~
 王承の呼び声を無視して、ジュチは室を飛び出した。



「待て、待ってくれ」


 遠くに良人の懇願にも似た悲痛な叫びを聞いたような気がしたけれど、今はただ王承が怖ろしくて彼から離れたい一心だった。



 裸足なのも頓着せず、庭を走る。涙が六月の生暖かい夜の大気に溶けて散った。
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