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秘花~王太子の秘密と宿命の皇女~
第26章 喪失、そして愛、ふたたび
ふいに、張りのある歌声が響いた。
「砂漠を渡る乾いた風は乙女の長い髪を揺らす。乙女の髪は光の糸を紡いだごとく輝き流れ、その瞳はオアシスの水のごとく澄み渡る。ああ、砂漠に降る雨のように貴重で、オアシスに咲く花のように可憐な麗しき乙女よ。紅玉に守護されし夏陽の姫君は砂漠に落ちたひと粒の宝石」
スエンの歌は昔から上手かった。男性が歌うことの多い吟遊詩人の歌だけれど、スエンが歌うとまた違った雰囲気の歌に聞こえる。