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愛しい記憶
第12章 新生活(回顧)
突然霞みがかった世界。
風が強いのか、ビンッ…と音を立てて窓ガラスが揺れる。
これからどうするのだろう。
欲しいものは姉ちゃん以外に何もない。
でもそれは手に入らない。
そんな状態で生き続けることに意味があるだろうか。
姉ちゃんのいない人生。
そんなもの………
「はぁ……っ」
ため息を漏らすと呼び鈴が鳴った。
楓が何か忘れ物でもしたのだろうか。
辺りを見回すが物など段ボール以外、ないに等しいこの空間。
はいと返事をしながら、扉を開いて、俺は大きく息を飲んだ。