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愛しい記憶
第12章 新生活(回顧)
──────これ以上関係を続けたら、親子の縁を切るわっ……
実の母親からの切り札は、俺たちの前には無力で儚い。
「姉ちゃん……っ……」
声を詰まらせて、愛しい彼女が泣いている。
想い合っているのに、愛し合っているのに、何故俺たちはこんなにも泣いているのだろうか。
「傍にいるって……っ」
「……っ………」
「約束したからっ……」
大粒の涙が姉ちゃんの顔を濡らしている。
唯一の愛する人。
愛しているから泣かせたくないのに、愛しているから泣かせてしまっているもどかしさ。