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愛しい記憶
第3章 亡霊

見えてはいけないものが見えている。


そのはずなのに、今目の前にいる彼女は、昔見た絵本や映画に出てくる幽霊のような醜い姿ではない。


それどころか美しい…



そんな事まで思ってしまうほど、儚くて胸を締め付けている。



何も言えずに呆然としながら、彼女を見つめていると、彼女は笑いながら静かに涙を流した。



「─────…っ」




その一筋の涙に言いようもないほど目を奪われて、息を詰まらせた。




「はじめまして……」



そう言いながら感極まっている彼女の姿につられているのか、“理由もなく” 自分も感極まっていて苦しい。



なぜ泣いているのだろうか…



理由が知りたい。



目の前に突然現れた彼女は────











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