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愛しい記憶
第2章 断片
寝返りを打った。
それで目が覚めたのか、目が覚めていたから寝返りを打ったのか、どちらなのかは分からない。
とにかく息苦しくて、喉が渇いている。
ベッドの脇のテーブルを見ると、指紋のついたコップと体温計が置いてあった。
風邪を引いていたらしい。
正確にはまだ気怠さが残っているので、治っていないのだろう。
とにかく水が欲しくてそのコップを掴んだ。
身体を起こして、いつから入っているのか分からないその中身を身体に流し込む。
幸いそれはただの水だった。
足りない…
乾きを潤すには量が少ない。
仕方なく立ち上がって、ぼんやりと部屋を見渡した。