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愛されたいから…
第10章 イルマのお泊まり
やっと週末の土曜日…、南郷さんとの約束をした日なのだから朝からソワソワとして俺は落ち着かない。南郷さんは俺が好きな時に家に来ていいと言っていた。

この業界は時間に不規則な仕事だから、俺が好きな時間に起きて好きな時間に行けばいいと南郷さんは俺に気を使ってくれている。

だけど少し早めに家を出て、俺は南郷さんの家のある駅前の商店街を探索する。この駅前にはちょっとお洒落なイタリアンレストランとかあって、俺はいつか南郷さんと来たいな…、とか思いながら、スーパーや市場っぽい店で今夜の夕食の材料を買っていた。

今夜は俺が好きなスズキのソテーにしよう。父親譲りなのか、俺は結構料理にはこだわる方だった。パン屋でバケットを買って、ガーリックトーストを作ろうとかスープはフレッシュトマトのパスタ入りミネストローネにしてボリュームを出そうとか色々と考えながら南郷さんの為にと買い物をする。

料理は漫画を描いている時の気分転換には丁度いいと俺は思う。しかも、それが好きな人の為に作れるとか思うと俺はちょっとワクワクとかしてしまう。

料理に合わせてお酒が苦手な俺にでも呑める軽めのスパークリングワインも買ってから俺は南郷さんの家に向かっていた。

南郷さんの家は割と綺麗には片付いている部屋なんだけど、俺が少しガッカリしたのは、食器があまり揃っていない事とゴミ箱にはやたらとコンビニ弁当の空が入っているという事だ。

忙しいのはわかるけど…、食事はちゃんとして欲しい。

思わず俺はそう思う。

南郷さんの家の台所は綺麗なままだし、冷蔵庫にはビールとミネラルウォーターくらいしかないから、自炊は全くしてないなと俺にわかってしまう部屋だった。

つまり、変に女の心配とかを俺がする必要はないのだけれども、時間に余裕がある時は俺が出来るだけご飯を作ってあげたいとか思ってしまう。

ちょっと新婚気分で、ワクワクとしながら俺は使えそうな食器を洗って、食事の下ごしらえを始めていた。

自分が好きな料理を好きな人の為に用意している時間って…、これはこれで結構楽しいとか初めて思ってしまうよな?

そんな風に浮かれながら俺は料理をして、南郷さんの帰りを待っていた。
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