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愛されたいから…
第8章 イルマの実家
しばらく南郷さんは泣いていた俺の背中をずっと撫でてくれていた。俺が少しだけ落ち着いた頃に南郷さんが静かに

『本当に俺でいいのか?俺はお前に無茶してしまうかもしれないくらいお前が好きなんだ。』

と言ってくれる。南郷さんの声が俺の身体に響いて俺はやっぱりこの人じゃなきゃ嫌だとか思ってしまう。

『南郷さんになら、何されてもいいよ。』

頭が熱くて…、南郷さんが触れる部分が熱くて…、それだけを南郷さんに言うのに必死な俺は南郷さんにずっとしがみついていた。南郷さんが

『大先生の息子に変な事した編集長ってバレたら、俺はこの業界に居られないな。』

と冗談っぽく笑って俺に言って来る。確かにそうだ…、俺もだけど、俺との関係は南郷さんを困らせてしまうという事実が俺は嫌だった。

『なら、俺は南郷さんを諦めるべきなのか?』

本当は言葉にするつもりじゃなかったけど、俺はそう南郷さんに向かって言ってしまっていた。南郷さんが少し俺を叱るように

『これだけ俺を本気にさせてから、お前、今更、それはないだろう。』

と言って俺にまたキスをする。何があっても、もし漫画家を止める事になったとしても今の俺は南郷さんと居たいんだ。

ずっとキスをして南郷さんと抱き合っていたら、いきなり俺の寝室の扉が開いて、俺は慌てて南郷さんから離れていた。南郷さんも少し狼狽えて俺のベッドから離れた時に

『イルマ、まだ寝てたんか?もしかして疲れたから具合が悪いのか?』

と言いながら大地が寝室に入って来た。南郷さんを見た大地はモロに不機嫌な顔をして

『誰?』

と南郷さんを親指で指を差す。慌てて俺は大地に

『編集長さんだよ!大地、失礼だから…。』

と大地をたしなめる。だけど大地はアタフタとする俺にはお構い無しに

『もしかしてお前の荷物の中に俺のテレビ局のIDが入ってなかったか?あれがないと俺は明日からの仕事に不便なんだよ。』

と一方的に自分の要件を言って来る。俺は南郷さんと大地に

『悪いけどリビングで待ってよ。着替えたらすぐに行くからさ。』

と言うのに、大地は

『別に、俺はそのままでいいぞ。どうせ見慣れたイルマの裸だからな。』

とか言ってやがる。俺はキレそうになって

『とにかく出て行け!大地の馬鹿!』

と叫んでいた。
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