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八重の思いー私を愛した2人の彼氏
第7章 蓮と陸の心境

「デザイナーやコーディネーターと言っても、会社員だよ僕」
「俺はそれが嫌で独立したけどね」
「全員が連のような度胸は無いよ、会社員であれば安定収入だけは約束される」
「それもそうだ」

独立するリスクはそう優しいものじゃない、今でこそ会社員以上の安定収入だが、俺だって無収入に近かった時期はある。そう考えると中々独立なんて出来やしないもの、陸の意見もある意味正しい。

「……あのさ、蓮」
「ん?」

陸がジュースを取ってから俺に振り返る、だがその顔は複雑……やはりなにかがあったんだろう。千弥が居ると話せないこと、それくらいは理解する。

「話、いいかな?」
「二人でだよね?」
「千弥には……聞かれたくない」
「じゃあ、また空き部屋はどうだい?」
「それで良いよ」

そこそこに長くなりそうだと、俺は冷蔵庫からビールをもう1本取り出してから空き部屋へと向かう。
居ない1日にあった出来事、俺も気にはなるんだ。



場所を変えて、普段は使わない空き部屋で俺は胡座を掻き座ってから、ビールのプルトップを開けた。
同じく向かい側に座り、ジュースのキャップを開ける陸、顔色はずっと冴えないまま。

「どこから話せばいいんだろう? 朝から昼に掛けて千弥は普通だったと思う。……とは言っても、千弥が一人で外出した時、僕は寝ていたから」
「それで?」
「帰宅した千弥は……異常なほど変だったんだ。僕が話し掛けているのも気付かないほど、顔色を青くして自分の部屋に逃げるように入って行った」

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