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八重の思いー私を愛した2人の彼氏
第7章 蓮と陸の心境

千弥の外出、そこにどういう理由があったのかは分からない。でも、外出先で取り乱すほどの『なにか』に遭遇したと考えても良いとは思う。

「僕さ心配で心配で、何度も扉越しに千弥に話し掛けたよ、それなのに千弥から返事は無くて、ダメだって分かっていたけど千弥の部屋に踏み込んだ」
「…………」
「そうしたら千弥は、灯りも点けずベッドの隅で踞って震えていて……思わず抱き締めたけど、千弥は『薬を飲んだから大丈夫』そう言ったんだ。薬ってあの心療内科の薬だとは思う、後から見たら、薬局からの薬の袋が千弥の部屋に散乱していたから」
「薬を使うほど、千弥は動揺し憔悴しきって帰って来た理由に心当たりは?」
「それは聞いていない。僕は、千弥が自分から話してくれるまで聞かないと決めた。聞くことが千弥の負担になるんだったら、自然に話をしてくれるまで待つ」
「……陸」

そこまで思うほど酷かった、普通に考えてもそうなる。いったい千弥はなにを抱えているのか? どうやら性行為時での豹変だけではない、もっと他にも理由がある。……それは千弥しか分からないこと。

「ねぇ蓮、僕たちって千弥をどこまで知っているんだろう? 少なくとも僕は、会社に居る千弥しか知らなかった、プライベートの1つすら聞いたことが無かったって気づいたんだよ」
「それは俺も同じ……いや、陸以上に知らない。俺は業務提携で千弥に会ったのしかないからね」

見ていたのは、仕事としての千弥。その裏にある個人的なことは1つも知らず、俺と陸は千弥に告白してしまったということになる。

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