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八重の思いー私を愛した2人の彼氏
第9章 あの時-千弥の封じた過去

「なになに? 君たちは俺に興味なし?」
「…………え?」
「あぁー! 私はありますよ九鬼先輩!」

離れていたはずなのに、九鬼は私たちのところにやって来て、仲間はもう大はしゃぎ。私は意表を突かれて、大した返事は出来なかった。

「先輩大人気ですから、私たちは大人しくしていただけですよー」
「俺が人気なぁ……勝手に盛り上がっているだけだろ」
「そんなそんな、先輩が居るから盛り上るんですよ」

女性って男性が絡むと、女性友達より男性なのよね。例に漏れず私の友達も、私より九鬼に言い寄ることに執念を燃やしているし……。これは仕方ないかな?

「??
そっちの彼女は?」
「千弥? 私の友達で三苑千弥って言うの。同じサークルの仲間でもあるのよ。ね、千弥?」
「う、うん。三苑千弥です、初めまして」
「俺は九鬼湊也って言うんだ三苑……千弥で良いか?」
「はぁ、まぁ……」

初めから馴れ馴れしいやつ、私の中ではそんな印象。だけど友達のために顔に笑顔くらいは張り付けてはいたよ。それが逆効果だったけど。

「俺は千弥みたいな大人しめの女がいいな、どうだこの後付き合わないか?」
「私が? 女性は沢山居ますよ九鬼先輩」
「千弥を誘うなら私もー!」
「俺は千弥が良いって言ってんだよ。一度に1人の女しか選ばないのが俺の主義だ」
「…………」

引っ込んでろみたいな凄い言い草に、友達は黙ってしまった。だけどなんで私? 今言ったように親睦会には女性が沢山居る中で私を選ぶなんてどうかしてる。

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