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八重の思いー私を愛した2人の彼氏
第12章 新たなる出発点-千弥

「煽てているつもりはないけれど、出ないと言うなら出させようかな?」
「……え?」

蓮さんのデスクを挟んで、私が椅子を持って来て休憩タイムをしていたんだけど、蓮さんが立ち上がりデスク越しのまま私にキスをした。

「貰うのは構わないよね千弥?」
「……ここ、事務所」
「誰も来ないよ。今まで誰も来たことがない」
「でも仕事……」
「仕事場でなんて萌えないかい千弥?」
「え、えぇー!?」

オフィスラブなんて言葉があるけれど、理想と現実は別でしょう! 幾ら誰も来ないと言われても、昼間の日の高い中でなんてそんな……。

「俺は本気だけどね」
「蓮さんっ!」

デスクに身体を伸ばしているだけだった蓮さんが、ヒョイっとデスクの上に乗り、私を椅子から立たせキスの続きをせがむ。

「……あっ」
「こんなのは嫌い?」

私の前でデスクに座り、キスと共に腰に手が回って触れ合う唇が深くなる。この雰囲気……ダメ、蓮さんに逆らえない。

「言わないのなら続けるよ千弥?」
「……ん、蓮さん……」

明るい日差しの中でのキス。触れているだけじゃ足りないと、蓮さんの舌が私を促すの。それに負けて唇を開けば、すかさず忍び込む大きな舌に、私の舌は絡み取られてしまっていた。

「んっ……ん……」
「千弥……好きだよ」
「……私……も……」

舌をなぞるようなディープなキスだけで気持ちが良い。もっと欲しくて私からも舌を伸ばす、そうすれば蓮さんはちゃんと受け止めてくれるから。

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