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第13章 ルーキーの反抗-陸

「小野寺、三苑千弥をこの会社に呼び戻せ」
「…………は？」

なに言っているんだ部長は。千弥はもう何ヵ月も前に退社したのに、千弥を呼び戻す？　僕が？

「三苑千弥と付き合っているんだろう小野寺、だとすれば今どこに居るかも分かってるはず。先方は三苑千弥が加わることを条件としている、あんな大口な依頼はそうはないからな」
「ちょっと待って下さい。三苑さんは秋前に退社したはずです」
「これのことか？」

部長が取り出したのは、封すら切られていない千弥の退職届。……受理していなかっただなんて！

「三苑千弥は今でもこの会社に在籍中だ、そして連絡先を知っているのは小野寺お前しか居ない。いいか、確実に三苑千弥を呼び戻せ、これは会社命令だ」
「…………」

僕しか連絡先は知らない？　ということは、千弥は会社に住所変更を出していないことになるけど、どうして僕……いや武田か、僕と千弥が本当に付き合っているのを知るのは武田だけ、後は全て憶測話。武田がリークした、これで合っていると思う。

「どうした小野寺、三苑さんが帰ってこれて嬉しくないか？」
「……武田……」
「小野寺も三苑さんと一緒に仕事をしたほうが良いだろ。またルーキー復活だよなぁ」
「…………」

絶対にそう思っていないのが丸わかりって、武田は気づいているのだろうか？
自分可愛さに武田は僕と千弥を部長に売った、そんなに営業成績が欲しいわけ？　悪いけど僕には全く分からない感覚だ。