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八重の思いー私を愛した2人の彼氏
第13章 ルーキーの反抗-陸

「どうした小野寺、悪い話ではないだろう。三苑千弥が会社に戻り、大口依頼も小野寺のもの。それで全てが丸く収まる」
「…………」

蓮は言った、僕と蓮と千弥は『八重』だと。想いや互いを気づかう気持ちが重なり、今の僕たちが居るんだって。そんな八重の千弥と会社、どちらを選ぶかなんて初めから決まってる。

「……三苑さんは退職しました。今更連れ戻そうとしても戻っては来ません。そして僕も三苑さんを連れ戻す気はありません」
「小野寺っ!」
「幾ら部長に言われても、僕は三苑さんの連絡先を教える気なんてない。
部長こそ、どうして犯罪者の肩を持つんですか?」
「は、犯罪者!?」

やっぱり知らない。
九龍湊の身元を調べていないと暴露しているだけなのに、いい加減僕も千弥と同じ気分になって来た。

「oceanオーナー九龍湊。
本名は九鬼湊也、数年前に麻薬所持並びに婦女監禁の容疑で逮捕、裁判にて実刑と監禁した婦女に接近禁止令の判決が出ています。
刑務所から出た後に九龍湊と名乗り、小さなホストクラブから現在にいたる。……このくらい調べられませんか部長?」
「麻薬所持、婦女監禁……」
「前科一犯、もしかしたらまだあるかもですね。
そんなヤツの依頼なんて、こっちから願い下げですよ。三苑さんじゃないですが、僕もこの怪しい会社を退職させて頂きます。……後は好きにすれば武田?」
「小野寺てめぇ」
「調べなかったほうが悪い。引き受けていたら、最悪犯行補助の疑いを会社が掛けられていましたよ。……じゃあ」

あースッキリした!
千弥の分も含めて、纏めて仕返ししてやった気分。
もしかしたら、僕が会社に残ったのは、このためだったかもね。

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