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八重の思いー私を愛した2人の彼氏
第6章 千弥と陸

「…………千弥、千弥! ねえ、返事をして!!」
「…………」
「千弥っ! お願いだからドアを開けてくれないかな?」
「……千弥!!」

虚ろに聞こえるあの声は……陸さん。
私の部屋の前で、なにかを言っているけれど、私は動く元気なんて……無い。
半分は薬の影響だとは自覚してる、後の半分は私が動きたくないの。

「千弥ってば!!」
「…………」

なにもせず、このまま眠ってしまえば、明日には楽になっているのかな?
このまま寝かせて、私を放っておいて、今日は陸さんの言葉を聞けないと思うから。

「……ごめん千弥、入らないって約束だけど千弥が心配だから……入るよ」
「…………」

向こうに見える光、そして私を抱き締める誰かの腕。でも、あの男と違うのだけは分かる、こんな優しい抱き締め方なんてされたことが無いもの。

「千弥……照明も点けず、ベッドの隅で震えていたなんて……。僕、躊躇わずにもっと早く千弥の部屋に入っていれば良かったと後悔してる」
「…………陸さん?」
「僕たちを頼ってよ千弥、好きな女性がこんなに憔悴しているのを見たくないよ僕」
「ごめん……なさい……でも大丈夫、薬飲んだから……明日になれば普通に戻るから」
「明日まで待てない、僕がこうして千弥を抱き締めて安心させてあげる。僕たちが居れば千弥は心配することなんて無いんだよ」
「……う……ん……」
「だから震えないで。怖くない、千弥には僕が居る」

私をキツく包み込む腕、優しい胸の中。……眠たくなるほど心地いいの、不思議と安心出来るの。

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