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八重の思いー私を愛した2人の彼氏
第6章 千弥と陸

「千弥……千弥……好きだよ。だから安心して、千弥が嫌がることは絶対にしない、ただずっと千弥を抱き締めているから」
「……う……ん……」
「……安心してお休み千弥……」
「…………」

優しい言葉が私の中に入って来て眠りに誘うの。とてもとても安心して、私は意識を手放すように軽い眠りの中に落ちていった。



「…………んっ」

目が覚めた時、あの不安は抜けたけど、誰かのぬくもりを感じる。気持ち良くて安心するぬくもり、私を不安から救い出してくれた、不思議なぬくもり。

「…………えっ!?」
「……ん、千弥目が覚めた」
「陸さん!?」
「そう、覚えてない? 千弥があまりにも憔悴していたから、僕が千弥抱き締めて眠ってしまったんだよ」

(朧気だけど……陸さんの優しい言葉が聞こえた、抱き締めるぬくもりを感じた。あれは夢ではなく現実だったの?)

まだ暗い室内、時計を見ようにもスマホは鞄の中で見れない。

「感覚的に言えば数時間眠っていたかな? 途中から僕まで寝ちゃったけど」
「陸さんずっと……」
「あんなに震える千弥を放っとけないよ。勝手に部屋に入ったのは悪いと思っているけど、後悔はしてない」
「それは……」
「怖いことがあったんだね、心配しないで僕が居るから。千弥に手出しなんてさせないよ」
「陸さん、私……私っ!」

確かに怖かった、震えてなにも出来なかった。なのに陸さんに抱き締められて安心した私。……こんなのは初めて。

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