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八重の思いー私を愛した2人の彼氏
第6章 千弥と陸

「うん、もう震えは止まってるね。あまりにも暗いから、ベッドサイドの照明だけ点けて良いかな?」
「あ……う、うん」

陸さんが手探りで照明のスイッチを見つけ、ベッドの横に置いてある間接照明が灯る。そうすれば分かる、私は陸さんにしがみつくようにしていたって。

「千弥、着替えてもいない。……着替えられる?」
「多分もう大丈夫」
「着替えたらご飯食べよ」
「……うん」
「食べたらお風呂に入ろ、僕の部屋の向かいにある大きい風呂、あれにゆっくり浸かれば良い。僕は一切邪魔しないから」
「……うん」
「風呂に入ってから、うーんどうしよう? 僕の部屋でゲームする? 気休めくらいにはなるからさ」
「……うん」
「千弥、うんばかり。じゃあ、着替えようよ」
「そ、そうだね」

陸さんから離れて、私は立って歩けるか確かめる。大丈夫フラ付かない、普通に動けるよ。
それが分かれば、部屋の中の散乱模様が恥ずかしい。慌てて鞄や紙袋、それに広げた薬もクローゼットにしまった。

(陸さん、薬を見たはずなのに、なにも言わない)

どうしてという疑問はあるけれど、今は聞かないでくれたほうが安心出来る。
聞かれても答えに困る、そんな薬たちだから。
片付け終わってから脱衣所で部屋着に着替え、陸さんとリビングに出た。

(っ! 眩しい)

リビングダイニングの明かりは全開に明るくなっていて、今まで暗い部屋に居た私には眩し過ぎるみたい。
少し目を細めながらも、向かうのはキッチン。そこで現在時刻が深夜1時過ぎなことに気がついたよ。

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