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第13章 信じられない

ちょっとした騒ぎを起こしたムービングウォークからは少し離れた通路の広い場所で優誠が私に

『とりあえず話しをしよう。』

と言ったけれど私は

『今日は空と遊ぶからやだ。』

と子供みたいに拗ねていた。だってまだ優誠の隣にはその綺麗な女性が居たからだ。

優誠の肩くらいまでの身長があって大人でとても煌びやかな女性だった。間違いなくカッコいい優誠と並んで居ても違和感を感じさせない人だ。

私は小さくて貧弱な子供っぽい…、いや…、学生でまだ本当に子供な女。優誠と並べば大木に蝉だ。

私はそんな風にその綺麗な人と比べられると自分が惨めになっていくのが嫌だった。

でもその人はクスクスと笑いながら

『噂の可愛い彼女さん？私が居たら誤解が酷くなりそうだから佐伯さんだけを貸して頂けるかしら？』

と優誠に言っていた。優誠は

『すみません。佐伯に全てを申しつけて下さい。』

と言ってその綺麗な女の人に頭を下げた。

優誠は綺麗な女の人が佐伯さんと居なくなるまでずっと頭を下げていた。佐伯さん達が見えなくなると優誠は

『とにかく帰ろう。』

と私に言う。私は

『だから今日は空と遊ぶの。結城さんは優誠が連れて帰ってくれたら良いから。』

と言い返す。完全に私は駄々をこねた子供だ。ただ優誠は私には困った顔をするだけだ。でも空が

『美奈、今日は帰りなさい。』

って言い出した。私は驚いて空を見た。

『だって…。』

と言い訳をしようとした私に空は

『また適当に逃げるつもりなの？それをやったら私は本当に友達やめるよ？』

と言って来た。空が私に本当に怒っていた。だから私はボロボロと泣いてしまった。空が私をよしよしと撫でてから優誠に

『優誠さんですよね？私は帰るので美奈をお願い致します。』

と言ったけれど優誠は空に

『すみません。でも貴女も送りますから。』

と言い、私と空はレクサスの後ろに乗せられて運転手は結城さん、助手席に優誠という状況でまずは空の家に向かった。

私はずっと泣いているだけの子供だった。空はそんな私の背中をずっと撫でてくれた。空は空の家の前で車から降りる時に

『待っているから必ず連絡をしてよね。』

と私に念を押してから帰って行った。