パソコンから！ケータイから！スマホから！無料でどこでも気軽に楽しめる官能小説サイト

第13章 信じられない

そして私は優誠の部屋まで連れて行かれた。リビングのソファーに座らされてから優誠は私の前に跪いた。私には優誠が見えてなかった。なんかだか自分がぼんやりとしていて考える気力もなかった。

優誠の手が私の頬に触れた。何度も私を確認するように指先で私の顔を撫でながら

『今、全てを話したら俺は捨てられそうだな。』

って優誠が私に言った。それから優誠は私に一冊の雑誌を渡して来た。

なんで今が雑誌なんだろう？

ぼんやりと私は思う。

優誠が私に渡した雑誌はかなり危ない雑誌だった。

ザッ○○！！と表紙に書かれた変な名前の雑誌…。

如何にも背中にいっぱい落書きがありそうな危ないおじ様達の写真がいっぱい載った雑誌…。

私はただパラパラとその雑誌の表紙からページを一枚一枚と機械的に捲ってみた。

○○代目、○○組組長、水原 優大の素顔ってトップページにかなり怖い顔をした渋い系おじ様のアップの写真があった。優誠が露骨に嫌な顔をして

『俺の親父だ。』

って私に言った。

え？優誠のパパは…、剣菱コンツェルンの会長様でしょ？

まだやっぱり私はぼんやりとしていた。優誠は凄く怖い表情になり絞り出すような声で

『俺には親父が２人いる。』

そう言い出した。

あまりにも不思議過ぎてなんとなく私の頭がはっきりとして来た。

ここは適当ではなく私は真面目に優誠の話しを聞かなければならない…。

そんな考えが私の中を駆け巡り

『パパが２人？』

と私は独り言のように呟いた。優誠は私を抱っこしてから

『俺の血の繋がった親父は指定暴力団だ。』

と私に言って来た。

指定暴力団…、私にも多少はわかっている。港街から少し山側に行ったところに有名な日本最大の暴力団の組事務所があったからだ。

だからこの辺りに住む人ならそういう危ない人の存在は子供の頃から誰でも知っている話しだ。

だけどそこのトップが優誠のパパ？

そんな話しを突然されても、俄には信じ難い話しだとは思うのだけれど雑誌に載っている怖い顔のおじ様は確かに優誠に似ている気がしないことはない。