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永遠に見えた世界
第1章 クソ親父
ただ黙って頬杖をついてぼんやりとしているだけの女だった。だけど相変わらずの透けるような肌で綺麗な顔立ちの美奈だった。

ちくしょー、今が仕事中じゃなかったらすぐにでも口説いてみてぇ。

俺がそう思っていたら美奈達が店を出て行った。俺は何故かホッとした気分でとにかく仕事に集中した。

そうやって仕事が忙しいというのに御剣と水原のクソ親父達は相変わらず俺には意味不明な結婚話しを持って来やがる。

ふざけんな。明らかに写真の段階で萎えるような女を俺に持って来んな。写真の中には牛のような顔の女が真っ赤な振袖を着て笑顔で写っている。

せめて持って来るなら美奈くらいのレベルを持って来いと俺はクソ親父達に言いたくなる。なんで美奈が基準なのかは俺にもよくわからねぇけどそれ以下は絶対にお断りだと俺はずっとこだわっていた。

更に季節は流れて行った。俺は懲りずに女を何人か抱いたが俺が自分から触りたいと感じるような女はいなかった。結局はガバガバでどこか汚く感じる女達。

飽きたら良二にくれてやる。良二はやはりちゃっかりとしていて今では俺の会社で現場の主任にまでなっていた。そして佐伯はやはり俺と同じで本気になれる女なんかそんな簡単には居ねぇなと俺に言う。

そんな佐伯の言葉に

本当に本気になれる女なんて夢物語なのか?

と俺は考えてしまう。

結局は俺もクソ親父達のように結婚した後も他の女を作ってそんな家庭を築き上げる為だけに仕事をする男に成り下がるのかよ…。

だったら、せめて本気になれなくとも身体くらいは相性のいい女がいいな…。

そうやって考えてしまう俺はクソ親父達に敗北しそうになっていた。

ただ時々、俺はあの桜の中で見た綺麗な小さな女を思い出す。桜が見せた気まぐれの幻…

美奈…

もう一度、あの綺麗な笑顔が見れたらな。多分、俺は必死に美奈を手に入れようとするに違いないな。

そんな事を考えて俺はクソ親父達から逃げるように仕事仕事の毎日になった。
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