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aeternitas
第1章 ─永遠の迷子─
辺りは闇に落ちていた。木々や葉の擦れる音が恐怖を煽る。霞みがかった月のみが少女の視界の助けとなっている。
「っ、は…何で…」
呼吸を荒くした少女は周りを見渡す。髪は乱れ、先程まで走っていたことは一目でわかった。
「…進んで…っ、ない…」
声の端に震えが感じられた。少女は自らを照らす黄金色の月を見上げた。
嘲笑うような風が吹き、少女は再び歩みを始めた。もう流す涙も尽きていた。
どうしてこうなったのだろう──そんな疑問だけが浮かんだ。自分は遊びの中で入っただけ、迷い込むなんてありえない。でも気付いたら高い木に囲まれていた。
疲労のせいか、時折少女は足を止めた。行く宛てもなければ、帰ることも出来ない、取り残された感覚だけがあった。
そんな時少女の目には大きな邸のようなものが見えた。
「…やっと……」
唇を噛みしめ少女は邸に向かい歩を進めた。痛みを訴える足などないように感じる。
辿りついた邸はやはり大きかった。躊躇いがちに戸を叩くと、誰かがいる気配がした。