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秘密のピアノレッスン
第12章 きよしこの夜
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学校から帰り、張り切って、少しだけ短い白のワンピースを来た。その下にはグレーのタイツを。
髪の毛を念入りにブラシで梳き、こっそり母のヘアオイルを借りて艶々に仕上げる。そして、ブレスレットをつけて、レッスンの時間通りに先生のマンションへ行く。
クリスマスイブに先生に会えるのは嬉しい……。
まだ、タチバナさんのレッスンの時間が続いている。
私は、リビング横の小部屋のアップライトピアノを開け、練習をして待っていた。
もう、このソファでしなくても……不安には、襲われない。
母に翻弄はされない。
先生にリクエストされていたショパンの「雨だれ」を弾いてみるが、やっぱり楽譜がないとだめだ。
そういえば、と、愛の夢が載っていた楽譜を捲ると、雨だれも載っていた。
丁寧に、丁寧に、鍵盤に触れていく。
あまり好きじゃなかったはずのこの曲が、指先から雨粒が生まれて、旋律を紡いでいるように思える。
「上手上手。いいんじゃない」
小部屋のドアが開き、先生が笑っていた。
「あ、先生……」
「立花さんが帰ったから、君の番だよ。お待たせしました」
先生の顔を見るのは、私の誕生日以来だ。
5日しか空いていないのに、随分会えなかったような感覚だ。
髪の毛を念入りにブラシで梳き、こっそり母のヘアオイルを借りて艶々に仕上げる。そして、ブレスレットをつけて、レッスンの時間通りに先生のマンションへ行く。
クリスマスイブに先生に会えるのは嬉しい……。
まだ、タチバナさんのレッスンの時間が続いている。
私は、リビング横の小部屋のアップライトピアノを開け、練習をして待っていた。
もう、このソファでしなくても……不安には、襲われない。
母に翻弄はされない。
先生にリクエストされていたショパンの「雨だれ」を弾いてみるが、やっぱり楽譜がないとだめだ。
そういえば、と、愛の夢が載っていた楽譜を捲ると、雨だれも載っていた。
丁寧に、丁寧に、鍵盤に触れていく。
あまり好きじゃなかったはずのこの曲が、指先から雨粒が生まれて、旋律を紡いでいるように思える。
「上手上手。いいんじゃない」
小部屋のドアが開き、先生が笑っていた。
「あ、先生……」
「立花さんが帰ったから、君の番だよ。お待たせしました」
先生の顔を見るのは、私の誕生日以来だ。
5日しか空いていないのに、随分会えなかったような感覚だ。
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