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秘密のピアノレッスン
第8章 指
先生は少し考えていたけれど、じーっと凝視しながら返事を待つ私を見て、ふっと笑みをこぼした。

「持ち運びが大変じゃないのなら、お願いしようかな。じゃあ、君が飾り付けしてくれる? 残念ながら、僕そういうセンスないから……」
「や……やります!」


先生の役に立てる。
クリスマスツリーの飾り付けなんて、父が日本にいた数年前以来、一度もしていない。

私もクリスマスを楽しんでいいんだ……。

家に帰って、自分の部屋のクローゼットにしまってあったツリーの箱を出した。
薄く積もった埃をはらってみる。
思っていたより結構大きいかもしれないな。
電飾を取り出して、コンセントに差し込んで確認してみると、ちゃんと点いて嬉しくなった。

心が躍り出しそうなぐらい、わくわくする気持ちが胸に広がる。

先生、喜んでくれるかな……?
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