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第3章 エスカレーターガール

｢抜擢ではなくて、適材適所の使い捨てよ。
聖子はステップアップしたと思い込んでいると思うけど。｣

｢じゃあひろみ課長からステップアップしたはずの誰かによって人事が決まったわけですか？｣

｢そういうこと、そして一般職ではあり得ない秘書課に異動したってことは、｣

｢えっ、それって、黒幕は、神田秘書課長ってことですか？え゛〜｣

｢しぃーっ、えりちゃん声大きい。｣

｢だって神田課長って妻帯者じゃないですか、それって不倫…｣

｢だから、静かに、ってぇ。
まあ、神田課長にしてみたら、不倫でも愛人でもなく、秘書課長として秘書に相応しいかスキルチェックしただけだろうし、業務の一環よ。
聖子は聖子で奥さんから奪おうとか、一番愛されたいとか思ってなくて、ステップアップのために乗っかっただけ。
ただ、一応独身のひろみ課長とは派手にデートしてたのに、いつしかそんなこともなくなって、でも男がいるらしい雰囲気だけ醸し出していたから、不倫なんじゃないの？なんて噂されてたのよ。
結局、今日まで相手がバレなかったってことで秘書課に異動になったのよ、たぶん。｣