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記憶の彼方に眠る恋
第3章 事故
 それからちょうと2週間後の金曜夕方―――。
 今度は美香のほうから電話がかかってきて、紗友莉は「最近仕事で大忙しだと聞いているのに、また電話してきてくれて嬉しいな」と思いながらその電話に出た。
「もしもし! 紗友莉、拓麻君のこと、もう聞いた?」
 普段より大きな声で、しかも早口に言われたこの言葉に、紗友莉はかなり動揺させられた。
 美香が言っている、拓麻のことについて紗友莉には全く心当たりがないので、「何のことだろう」という不安も一気に湧き上がってくる。
「もしもし、美香……。拓麻がどうかしたの?! 全く何も聞いてなくて……!」
「落ち着いて聞いてね……! 拓麻君、交通事故に遭ったみたいで……」
「え?! 事故?!」
 紗友莉は大きな声をあげた。
 あまりの衝撃に、パニックになりながらも、紗友莉は一番知りたいことをすぐさま尋ねる。
「ケガは?! 無事なんだよね?!」
「紗友莉、落ち着いて。大丈夫だから」
 興奮していた紗友莉は、普段のおしゃべりで早口な美香らしからぬこの落ち着いた発言を受け、咄嗟に我に返った。
 心の中で、「美香がこんなに落ち着いてるってことは、きっと大丈夫」と自分に言い聞かせながら、紗友莉は美香の説明を待つ。
「腕やおでこなど数箇所を打撲しただけで、目だった外傷もなく、命に別状はないんだって」
 美香の説明を受け、ホッと胸を撫で下ろす紗友莉。
 紗友莉の「よかった~」という声を聞くと、美香はさらに言葉を続けた。
「うん、命には別状ないんだけど……」
 またしても、普段の美香らしくもない、慎重な物言いだ。
 紗友莉の気のせいか、声のトーンもいつもより暗く感じられた。
 恐る恐る紗友莉が鸚鵡返しに尋ねる。
「命には別状ないんだけど……?」
 嫌な予感がしてくる紗友莉は、やきもきしながら美香の返事を待った。
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