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記憶の彼方に眠る恋
第8章 記憶の彼方に眠る恋
 全ての記憶が戻ったあの日、「拓麻のほうも、ずっと紗友莉だけを愛してくれていたこと」や、「紗友莉への気持ちだけが、縁談をことごとく断ってきた理由だということ」などを拓麻の口から聞かされた紗友莉。
 思いがけないことばかりで、紗友莉が感涙に咽んだのは言うまでもない。
 拓麻は紗友莉と同じく、「今の関係までなくなることを恐れ、ずっと想いを伝えられなかった」のだった。
 その後、傘を持っていなかった紗友莉を、相合傘で拓麻が実家へ送ってくれたり、紗友莉の部屋でキスをしたり、色々あったのだが、紗友莉は幸せすぎてほとんどまともに覚えていない。
 でも紗友莉は、「キスやハグなら、これからもいっぱいするんだから、覚えてなくてもあんまり残念じゃない」と心の中で強がっていた。



 そんなことを紗友莉が色々思い返していると、隣の拓麻がまた話しかけてきたので、紗友莉はすぐにそちらを向く。
 拓麻は黙って、紗友莉の唇に自らの唇を重ねていった。



                     【完】
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