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俺は彼を愛してる
第1章 First contact
兄貴は両親が他界した後
それまでやってた仕事を辞めて

俺を探しながら
親父がやってた飲み屋を売った金と
保険金とでボーイズバーを始めた
らしい

兄貴は俺に
呼ぶまで店に出てくるなと言う

一応 商業高校を卒業出来た俺に
兄貴は一(はじめ)の裏の事務所で
経理が出来る様に仕事を教えてくれた

今ではマネージメントなんかも
任せてくれてる

仕事中は
用意された制服のスーツを着て
PC用メガネをかけている

今日は閉店間際に店から
女の子達の騒がしい声が聞こえる

「うっせぇなぁ」
呟きながら様子を見に行ったら
グラスが落ちて割れた

それでも女の子達は
大人しくならないから
手前に居た子を椅子から抱き上げて

床にストンと降ろしてから
兄貴を見た

呼ばれてないのに店に出て来たら
マズかったかな?

思わず兄貴から目をそらしたら
カウンターに居た
俺より小柄なリーマンと目があって

バッ!
っと体に電流が走ったみたいに
全身の毛が逆立つような
感覚に襲われて動けなかった

どのくらいの時間がたったのかな
目が逸れた隙にそこから逃げて
事務所でメガネを外し机に置いた
けど息がうまくできない

目をつむると姿が思い出されて
心臓がうるさくなって
閉じていられない


 
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