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蜜会
第3章 溢れる
 家を出たら駅前のイタリアンでパスタを食べて、勧められたので私だけワインを飲んでいたら、義樹は私の手に「タクシー代ね」と千円札を握らせた。

 まだバスがある時間なのに、そんなことまで考えてくれているのかと驚いた。

 なんだか別れ際は少し寂しかったけど、誰が見ているかわからないから普通のカップルみたく手もつなげないし、田舎の改札で別れのキスなんかしたら大変なことになってしまうので普通にお別れした。


「じゃ、ね」

「バイバイ、また連絡するよ」


 小さく手を振って、改札をくぐって琵琶湖線のホームに降りていく義樹の後ろ姿を見送る私はどんな顔をしているんだろう。









 多分、祐一に送ってもらって帰るときよりずっと楽しそうだったに違いない。

*3章おわり*
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