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第5章 ナンパの女
気分転換に、外を歩く。
幸せそうな親子連れ。
忙しそうなサラリーマン。
………そう言えば、桜の家はこの辺だった。
気分転換と言いながら、結局あいつのことを考えちまう。
どこまでバカなんだ…
そう思いながらも歩みは止まらない。
そして、アパートの前に立って、俺は窓を見上げた。
…………無理矢理にでも、『話せ』って言って…聞き出した方が早いのかもな…
そんな考えが浮かんでは消える。
それじゃあ意味がねぇんだよな…
「はぁ……」
何度ついたか分からない溜め息。
見上げる窓。
明かりも何も点いていなくて、中にいるのかも分からない。
ふと、昨日スマホを見ていた桜の姿が浮かんだ。
男んとこか…
「─────っ…」
グッと歯を食いしばった俺はそのまま踵を返して、店に戻った。
ついにストーカーみたいな事までしてる自分が、アホすぎて笑えてくる。
あ〜…もうやめだ、やめやめ。
もう出来ることはしたし、伝えるべきことは伝えたはずだ。
こんな事してても何もなんねぇ…
そう言い聞かせながらも、店の花壇を見ればまたどうしようもない気持ちが溢れ返る。
まだ蕾すら付けてないリナリアから目をそらして、俺は店内に入った。