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甘党な愛
第21章 二十一

 ――甘い夢でも見ている気分だ。あれから11時に家の近くで待ち合わせして、八雲の車で店へ向かった。八雲とも会えて、美味しいスイーツも食べられる。そう助手席に乗ったまま、私はウキウキしていた。

「着いたぞ」

「うん!」

 って、え……?

「八雲、ここはスイーツ店じゃない!」

 八雲の横顔に見とれていたせいで、スイーツ店のある場所とはかけ離れたホテル街に来ていたことに、八雲がホテルのパーキングに止めて漸く気付く。

「甘いものも食えるだろ?」

「いやだってここは……」

 ラブリーホテル!何、当然のような顔で言ってんだ……。

「……帰る!下ろしてくれ!」

「嫌だ。スイーツはいつでも食べられる。けど……」

 慌てながら私が頼むと、八雲は私の頭をガシッと右手で鷲掴み、アウトレイジな声で言う。

「お前は食べられねーだろ?」

「いや、あの、食べるって……」

マグロで良いのか!マグロで!

「行くぞ」

「い、いやぁぁぁぁ……!」

 そのまま頭を掴まれたまま運転席側から引き摺り出され、私は叫んでいた。まだ心の準備が出来ていないのにホテルなんて、絶対無理だ。
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