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もう私、生徒じゃない
第4章 怯えた彼女
午後の授業までは時間があったが

やることもなかったから少し早めに出勤した。

非常勤講師は必要最低限しか呼ばれない。

ここにくるのも2週間以上ぶりだった。

まだ午前の授業をしている最中の校内は

かすかに聞こえる人の声以外なにもない。

昼休みになれば耳を塞ぎたくなるほど

騒がしくなるような校内が

今は驚くほど静かでゆったり時が流れる。

この異様な空間を俺は少しだけ気に入っていた。



職員室は2階にあるため

ゆったりと階段を上っていく。

半分上って折り返しまた

ゆったりと上っていく。

だんだんと2階の様子が見えてくる。

すると、見覚えのある綺麗な横顔を見つけた。



松永藍。



入学式後のオリエンテーションで聞いた

彼女の名前が思い出される。



彼女は教員用トイレの前で固まっていた。

不思議に思っていると

静まり返るフロアに若い男の話声が聞こえた。
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