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もう私、生徒じゃない
第5章 優しい手
午後の授業が始まった。



授業が始まる前に

午前の授業で突然いなくなった私を心配して

紗希子ちゃんが声をかけてくれたけど

うまく会話できた記憶がない。



ボーッと教室のホワイトボードを眺めていると

まずは先生の自己紹介が始まった。

ホワイトボードに自分の名前を書き終えた先生は

クルリとこちらを向く。

視線が重なってニコリと微笑まれる。



今の…私に向けて…?



そんなはずはないと先生の言葉に集中する。

でも、話しをしている先生と何度も視線が重なって

その視線に絡めとられたかのように

先生から目が離せなくなる。

もちろん、この授業の担当講師であり

自己紹介中なのだから先生を見るのは必然なんだけど

それとは別の感情が私の視線を支配している気がした。



お腹の下、いや、もっと下の方が熱くなっていく。

そんなはじめての感覚に戸惑いながら

私は先生を食い入るように見つめていた。
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