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籠鳥 ~溺愛~
第33章
顔を上げた鏡哉がきっぱりと美冬の言い分を否定する。
「君は、いつも私を救ってくれた……そして今も私を救ってくれる――」
鏡哉の瞳が潤んでいた、泣きたいのに泣けないようなその表情に美冬の瞳から涙が零れる。
「わ、私……ずっと信じてた。鏡哉さんなら分かってくれるって信じてた――」
手紙の中に込めた、本当の自分の気持ちを。
「私も信じていた」
鏡哉が美冬に答える。
「手紙を貰って直ぐは君の気持に気づけず、君を探させたけれど……けれど思い出した、美冬が愛していると言ってくれたことを……だから信じられた――」
美冬がこくりと頷く。
「今も、信じている。だから――」
鏡哉が言葉を区切り、美冬の頬を濡らす涙へと指を伸ばしそれを拭う。
「結婚してほしい――」