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籠鳥 ~溺愛~
第6章
食器を片づけて自分の昼食を軽くとり寝室に戻ると、美冬がまた死んだように眠っていた。
鏡哉は美冬が泣いていなくてよかったと、少しほっとしながらまたパソコンへ向かう。
高柳や各部署から送られてくるメールに目を通していると、いつの間にか夕方になっていた。
体温を測ろうと美冬の脇に体温計をセットしたとき、携帯が鳴った。
「高柳か。どうした」
『いえ、特に。美冬ちゃんどうかなと思いまして』
「ああ、熱は37度に下がったみたいだ」
『そうですか、よかった』
「明日も休めそうか?」
『申し訳ありません。どうしても午後に一件抜けられない会議があります』
「わかった」
『会議資料はメールで送りましたので、ご確認ください』
「了解、ありがとう」
『いえ、では美冬ちゃんによろしく』
そう言って切れた携帯電話を胸ポケットに戻そうとしたとき、美冬が「うぅん」と唸った。
「起きたか?」
「……けほ」
掠れた声で咳をした美冬の上半身を起こしてやり、ベッドヘッドに凭れかける。
キッチンからスポーツドリンクを取って戻ると、だいぶ楽になったのか顔色が少し戻った美冬がこちらを見つめていた。
熱からかその視線は熱っぽく潤んでいる。
鏡哉はなぜかあまり見てはいけないような気がして視線をそらすと、ベッドに腰を掛けてペットボトルを美冬に渡した。
受け取った美冬は少ししんどそうにキャップをひねるが、力が入らないのかうまく開けられないようだった。
鏡哉は小さな掌からそれを取ると、キャップを開けてスポーツドリンクを口に含んだ。
美冬は目をつむっていた。
部屋はしんと音がしそうなほど静かだった。
顎を掴むと、やはり小さな肩がピクリと震える。
唇を合わせると遠慮がちに口が開かれるのが感じられた。
何度かそれを繰り返し唇を離すと、美冬がゆっくりと瞼を開いた。
熱に浮かされたように瞳が揺れているが、ひたと鏡哉の瞳を見つめていた。
小さな手が鏡哉のシャツの袖をそっと掴む。
それに引き寄せられるように、鏡哉は美冬に唇を重ねていた。
しっとりと吸い付いてくる唇が、スポーツドリンクのせいかとても甘い。
頬に両手を添え、何度も角度を変えて口づける。